日本文化を感じる和食店の店舗内装の魅力
料理を味わうだけでなく、日本文化を感じることも和食店を訪れる楽しみです。ただし、すべての店舗で体感できるわけではありません。店舗内装が一定の水準に達していないと、普通の食堂で食べるケースと違いはないでしょう。言い換えると、経営者は店舗内装にこだわって日本文化を強調することが大切です。とはいえ、そうするだけの価値があるのか疑問に思うかもしれません。そこで本記事では、和食店の店舗内装の魅力やポイントを詳しく紹介します。
木材を使用した和風のカウンター席
本格的な和食店の象徴として、高級感のあるカウンター席が挙げられます。一般的なカウンター席は手早く食べるためのシートだと思われがちです。それとは異なり、料理人との会話を楽しむなど、落ち着いて過ごすためのスペースとなっています。このような用途を想定した場合、殺風景な仕様に仕上げるのは良くありません。座っていて暖かみを感じるような優しい座席にすることが基本です。そのためにカウンターや椅子に木材を使用するケースが多くなっています。無垢素材などを採用することで、自然を大切にする日本文化を示している点も大事です。そこに座って温かいお茶を飲むと、心からリラックスできるという人も少なくありません。このように店舗内装の工夫次第で、顧客の心にまでプラスの作用をもたせます。接客業務を行ううえで大きな魅力であり、リピーターの獲得を促す効果も大きいです。一口に木材といっても形状や材質のバリエーションは多岐にわたります。どれが適切なのか吟味して選択しなければなりません。
生け簀で海鮮の和食文化をアピール
海鮮料理は日本文化の一つであり、それを味わうために和食店を訪れる外国人も少なくありません。そのため、海鮮料理を積極的にアピールしていくこともポイントの一つです。店舗内装でこれを実現したいなら、生け簀を店内に設置すると良いでしょう。設置場所は大きく分けて2種類ありますが、その選択によって得られる効果に多少の違いがあります。1つ目は店内の入口付近であり、それを目の当たりにするだけで、日本文化に触れているような感覚になりやすいです。この場合だと店外からも見えるように配置できるため、集客の効果を高めるという恩恵も受けられます。しかし、生け簀が空だったり魚の見栄えが悪かったりすると、あまり良くない印象を与えかねません。このリスクを把握したうえで検討しましょう。2つ目は客席から見える調理場の付近です。ここに置くことで、これから食べるという高揚感を呼び起こせます。ただし、客と生け簀は少し距離が離れているため、間近で見られる1つ目ほどの臨場感はありません。
どの年齢層の顧客でも過ごしやすい配慮
海外の料理のなかには、子供が食べられないなど、特定の年齢層をターゲットにしたものも珍しくありません。しかし、和食店の料理は基本的にどの年齢層の人でも食べられます。もちろん、未成年はお酒を飲めませんが、料理類に関してはそのような制約は少ないです。控えめな味付けがスタンダードなので、濃い味が苦手な人でも気軽に口に運べます。煮物を中心として柔らかいメニューが多いことも特徴です。そのため、顎が未発達の子どもでも食べられますし、硬い料理が苦手な高齢者でも問題ありません。このような汎用的なメニューにあわせて、空間に関してもターゲットを絞らないことが重要です。和食店は座敷を設けるのが一般的ですが、足腰が弱い人は座りにくいと感じるケースがあります。その対策をしたいなら、掘りごたつ式にしておくことも有効な手段です。これなら椅子に座っているときと同様に足を前に伸ばせます。また、一般的な座敷としても使えるように、床を取り付けられるようにしておくと便利です。
日本のおもてなしに合う定番のデザイン
洋風の店舗は独自性を打ち出して他店と差別化を図ることが多いです。たしかに差別化はビジネスの基本であり、その刺激が集客に結び付くこともあるでしょう。珍しい店舗内装が若者向けのアピール材料になり、SNSで拡散されるケースも見受けられます。とはいえ、すべての飲食店でそのアプローチが正解というわけではありません。特に和食店では高すぎる独自性は敬遠される傾向があります。なぜなら、伝統的な日本文化ならではの雰囲気を求めて訪れる顧客が多いからです。この雰囲気は定番といえるもので、オリジナリティの対極にあるといっても過言ではありません。差別化しようとした結果、顧客の期待を裏切る店舗になることも十分にありえます。それが分かっているので、たいていは定番の域から外れないように設計されています。そのようなセオリーが存在しており、顧客の安心感を与えらえることも魅力の一つです。決して柔軟性に劣るという意味ではなく、創意工夫をしながら最高のおもてなしを提供します。
心地よい和のテイストで店舗内装を統一
どのような店舗でも基本的にはコンセプトが存在します。コンセプトを持たずに設計した店は、場所ごとに雰囲気が異なるなど、あらゆる面で違和感が大きくなりやすいです。和食店は特にコンセプトを重視しており、日本人ならではの調和を大切にしています。椅子やテーブルだけでなく、天井や床のデザインに至るまで統一性があるのです。世の中のグローバル化とともに、食文化も着実に多様化しています。その実情を知って焦り、洋風の店舗内装を真似するのは間違いです。どのような店舗なのか分かりづらくなり、顧客が離れていく現象が起こりかねません。食文化が多用しているからこそ、和食店の存在がこれまでより際立ちます。つまり、洋風の店では見られない和風の店舗内装も魅力に他なりません。そういう面で差別化を目指すことが正当な方針となっています。店舗内装のあらゆる要素に対して、和のテイストを盛り込むように配慮することが基本です。心地よい統一感の中で過ごせることは顧客にとっても魅力的でしょう。
食欲が増しやすい暖色系が中心の配色
多くの和食店の店舗内装には、暖色系の配色が中心という共通点があります。前述のとおり木材を使用することが多く、茶色の系統を使用していることが多いからです。これは心理的に落ち着きをもたらすだけでなく、食欲を増進させるという効果もあります。人間は赤などの暖色系が目に入ると食欲が増しやすいです。一方、青など寒色系を見ていると、食欲が減衰しやくなってしまいます。和食店に寒色系のものはあまり配置されていません。スタイリッシュな店舗に憧れて黒系を使う経営者もいますが、売上の面では逆効果になっているケースもよくあります。なお、和食店の茶系の素材にあわせて、オレンジ系の間接照明を使用するところが多くなりました。これにより食欲はさらにアップすることになるでしょう。したがって、普段は食が細い人でもしっかり食べられる可能性が高まります。この魅力は昔から日本人によく知られているものです。よって、食欲がない家族や友人への思いやりとして、和食店に連れてくるケースも少なくありません。
まとめ
和食店は日本文化に触れられる代表的な場所です。その雰囲気を作り出すうえで、店舗内装はとても大きな役割を果たしています。入り口の生け簀から座敷の壁紙に至るまで、和風のテイストが反映されている箇所はとても多いです。どの年齢層でも落ち着いて過ごせますし、食欲も自然と増しやすいなど、たくさんの魅力が溢れています。これから店舗内装を検討するなら、日本文化良さをアピールできるように、多角的な観点で取り組んでいきましょう。